2009年5月4日月曜日

鳥取: その1 日置でブー


夜行バスで鳥取にやってきました。主目的は、今日の午後日置桜の蔵元、山根酒造場で開かれる日置でブー(豚の丸焼きをする会)に参加するため。二升ガールズ&男子部の物好きが10人以上東京から鳥取にやってくるのです。
さて、鳥取駅から蔵最寄りの青谷駅まで列車に乗るのですが、それまで2時間ほど時間があったので、まずはバスの疲れをとるためにお風呂に行きました。鳥取駅のまわりは鳥取温泉があって、銭湯も温泉なのです。一番駅から近くかつ情緒のありそうな日の出湯に行きました。番台でおじさんがあいそよく迎えてくれました。7時だというのに、脱衣所には先客が10名ぐらいいてびっくり。半分は出る人だったので、浴室はそんなに混んではいなかったのですが、鳥取って朝風呂がメジャーなのかな? 東京だとお風呂屋さんってこんな早い時間にやってないんですが。
その後、駅ビル内の服部珈琲工房でモーニング。ただし、朝なので駅ビルは営業してなくて、建物の外側の入り口から入りました。……これが後になって問題の原因となったのですが……。トーストセットを頼んだら、最初からいちごジャムが塗ってあってちょっとショック(普段はジャム食べないので)。でも、バターとジャム両方塗ってあるパンもそれなりにおいしいものですね。パン自体はふかふかで美味。コーヒーはさすが苦味と酸味のバランスがよくてとても美味。なんて味わっていたら列車の時間まであと5分少々となったので、あわてて会計して「あ、駅ビル側の出口が開いている」って、来たときと反対側の出口から出てしまいました。ところが、駅ビルには入れても、駅ビルから駅への出口が開いてない。迷ったあげくまたお店に戻ってビルの外に出て、駅のコンコースに入って、とやっていたら、タッチの差で予定の列車に乗れませんでした。他の人たちと同行するはずだったのに…駅に迎えに来てもらってるのに……がーん。
まあ、いつまでも落ち込んでいても次の列車は40分後にしか出ないのだから仕方ありません。自分の担当だった仕事を他の人に変わってもらったり、買い出しついでに迎えに来てくれるようにお願いしたり手配して、後はのんびりちょっと長くなった一人旅を楽しんでいました。こういうとき、携帯電話&メールってほんとに強力(きょうりょく)。


青谷駅に迎えに来てくれたダンディ山根社長とTさんと一緒に買い出しをすませて蔵に向かうと、すでに解凍されたぶたちゃんがお化粧中でした。うわーーーかわいいいーーーー。ちなみに、今回はスペイン産の約5kgの豚を2頭用意しました。参加人数は約20名。塩こしょうハーブ(ドライタイムと生ローズマリー)で味付けされた豚を串刺しにしてはりがねで固定して、外のバーベキューコンロに運びます。


豚の丸焼き中。おいおい、手足を固定してないから豚がダンスをおどっちゃってるじゃないですか。いったん火からはずして結び直し。この装置は、ドラム缶を半分にした特製コンロ(蔵の近くの鉄工所で作ってもらったそうです)の両側に木のくいを打ち込んで、針金の輪で豚の棒をぶらさげるという構造です。棒にはL字金具がついているけど手で持っていないと豚の重みで回ってしまうのでちょっと大変そうでした。固定できたらもうちょっと楽だったかも?
豚は油を塗って少しずつ回しながら、3時間ほどかけて焼き上げる予定です。


他にもバーベキュー用の野菜(そらまめ、アスパラ、かぼちゃなど)と、Tさん特製タモリカレー(チキンカレーとカレーマッシュポテトとごはんを混ぜて食べる)と、私担当のピプラード(赤ピーマンとトマトの煮込み)などを用意していましたが、鳥取在住の参加者のひとり、Kさんが地元の特産物をいろいろ用意してくれていて、予想外にゴージャスな食卓になりました。特に、へしこ(バーベキューコンロで焼いて食べる)とかめのて(さっとゆでてむいて食べる)が気に入りました~。かめのてって、酒飲み好みの味だよね! 日置桜の酒米を作っている内田百種園の寿郎さんも参加してくれたので、カレー用にお米を分けてもらいました。さらに、本人にといで炊いてもらっちゃった(笑) 横で見ていて、お米のとぎ方や吸水時間などを教わったので、今後はさらにおいしいご飯が炊けそうです。参考までに、ポイントは
・水を入れるときは米に余計な摩擦を与えないように容器の縁から入れる
・軽くとげば十分。すすぎは2回程度で十分。
・吸水はザルにひろげて10分程度。15分だと長すぎ。
です。……で、合ってますか?寿郎さん。


豚はちょっと時間差をつけて2頭回します。けっこうすごい光景。1頭目はみんながまんしきれず、だいたい火が通ったと思われるところで足りないところをバーナーであぶって食べ始めてしまいました。2時間半ぐらい。が、足の付け根などの肉の厚いところはちょっと生焼け気味。改めて網で焼いて食べました。味は、皮の下のゼラチン質がもちっとしていてなかなかおいしかったです。
2頭目は前の教訓を生かして、もっとゆっくり4時間近く火を通しました。肩とおしりに火がよく当たるように炭を2山に盛ったそうです。おろして解体してみると、今度はほとんど火が通っています。しかも、皮がカリッとしつつ肉はジューシーで軟らかくて、「さっきもおいしかったけど、こっちはその3倍おいしい!」と叫んでしまったぐらい。丸焼きのだいご味を文字通り味わいました。

お酒は、もちろん全部燗酒。二升ガールズですもの。日置桜で用意していただいたのが、生酛強力16BY鍛造生酛にごり20BY玉栄生酛20BY(未発売)でした。玉栄生酛は、ダンディ山根社長は「まだ早い」と言っていましたが、酸の強さが豚によく合ってそれはそれでいい!と思いました。長く熟成しても楽しめそうで期待大です。にごりが、なんだろう、独特なキレのよいうまさで、ある意味あんまりにごりっぽくない、普通にうまいお酒だと思いました。私だけかしら。ちなみに、「鍛造」は先ほど書いた内田さんのお米を使ったお酒につく名称です。
その他参加者持ち込みのお酒もあって、田酒純米大吟醸15BYと、東力士「熟露枯(うろこ)」純米吟醸15BYという、山廃純米の熟成酒の飲み比べがおもしろかったです。どちらも熟成のためか丸みがあってすぐには山廃とはわからない感じだけれど、田酒の方はどっしりしたいかにも古酒らしい味わいになっているのに対して、東力士の方はもっと骨っぽい、キレを残した仕上がりになっていて、私はこちらのが好きでした。こちらの方がより山廃っぽかったからかも。
他にも風の森、いづみ橋、千代むすびなどがあったようですが、味見しませんでした。残念。

そんなわけで、みんな食べたり飲んだりおしゃべりしたりと、楽しく過ごしているうちに夕方になってきました。いろいろ片付けて、残ったものを山分けしたりして、鳥取組の人たちと別れ(でも実は半分以上には翌日も会ったという)、宿から迎えに来るバスを待ちます。


ここではたと気付いたのが、「しまった、蔵見学してない」ということ。でももう遅すぎて時間もなくて無理だったので、それは次の機会(あるのか?)にゆずり、会場として使わせてもらっていた資料館を見学させていただきました。ここは昔の道具類などが展示してあります。私が特に気になったのは泡笠。よそで見たときに気付かなかっただけかもしれないけれど、なるほど発酵途中で泡が高くなったときにこぼれないように、こういう道具を使っていたんだ、と発想の転換に感心しました。泡を出さないように、とか、泡が出てもこぼれない程度の量を作る、とかじゃなくて、泡が出ちゃったら押さえておけばいいや(そのうち引くんだし)っていう楽天的な(と勝手に想像するわけですが)考え方が好きだなあ。


さて、夜は山根酒造場も懇意にしているという浜村ビューホテルに宿を用意していただきました。「近くの安い宿」って聞いていたから民宿みたいなものを想像していたら、立派な温泉旅館でびっくり。全体的には近代的な立派な建物なのですが、その一角に、山根酒造場が譲ったという酒釜(中でお湯をわかして、上に甑をおいてその中の米を蒸す)を使った酒釜風呂がありました。ここだけぜんぶ木製で情緒たっぷりの異空間。しかも酒釜。すてきなお風呂でした。お湯は熱めだとみんな言っていましたが、東京系の家で育った私からみれば、普通程度だったかな。42度ぐらいだと思います。まあ、長風呂はできないですね。


夕食もとっても立派なものでした。夕方までバーベキューしてたので半分も食べられなくて、ほんとうに残念。このあたりは貝がよくとれるようで、さざえの刺身に、あわびステーキと、貝が並びました。私は貝が好きなので、貝だけは大喜びで完食。あわびなんて写真撮る前に食べちゃった^^;
みんなもお腹いっぱいで、夕食はお酒なしで……という声もありましたが、「お酒がないと一口ものどを通りません」と反対したのは私です、すみません。持ち込みのお酒で一人1本ほどの燗酒をつけてもらって、なんとか形だけでもいろいろ箸をつけられました。

女子部屋に戻って、みんなお腹をかかえてまったり。男子部屋では、ダンディ山根社長にもらった正体不明の小瓶8本ぐらいを並べて宴会を始めた模様。うーん、お酒の味見はしたいけど、宴会に参加する気力はないよう……というわけで、「ごめんねー」とあやまりながら、3本だけ分けてもらって、茶殻入れにポットのお湯を入れてお燗をつけて女子でまったりと飲みました。こういう女子飲みって好きなんだけど、さすがに今日はみんな疲れているので話もそんなにはずまず。となりの男子部屋はどうしてあんなに元気に盛り上がっているのだろう?と思いつつ、12時までかかって4人で小瓶1本半いただいただけで眠りについたのでした……いやあ、怒濤のような1日だった……おやすみなさい……

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